■博士のコラム 栄養不足とその症状 その1
生命の鎖は炭水化物、脂質、たんぱく質、酵素、ビタミン、ミネラルの6種類の栄養素によって構成されています。
それぞれの不足によって起こる症状を簡単に述べてみます。
●炭水化物
エネルギーの不足、うつ病、または体内の必要なたんぱく質の分解などが起こります。
また、精製加工された穀物を摂りつづけることで潜在性のビタミンB群欠乏症になり、炭水化物がうまく使われず、消化能力も落ち、胸焼け、吐き気などが起こります。
●脂質
脂質が不足する人はまずありませんが、大切な働きの必須脂肪酸の摂り方にはかなり偏りがみられます。
成長や健康な血液、血管、神経、そして若々しい肌を保つのに不可欠です。
また、必須脂肪酸の不足は悪玉コレステロールの増加を招きます。
動物性の脂肪の摂りすぎは肥満を招くだけではなく、消化や吸収が悪くなり、消化不良にもつながります。
●たんぱく質
たんぱく質は体内に貯蔵するところがありません。
余分なものは、体外に排泄されるか、脂肪に変わってしまいますので、毎日新しいアミノ酸を補充しなければなりません。
筋肉、血液、髪の毛、爪、心臓を含めた体内のいろいろな器官など、人の体の組織を作る もっとも必要な材料ですから、不足すると体の組織の成長と発達に大きくかかわります。
●酵素
酵素は生きている全ての植物、動物に散在します。
たんぱく質で作られ、現在わかっているだけでも数千種類もあり、体のほとんどすべての働きに重要な役割を果たします。
酵素は主として体内で作られますが、食べ物からできるだけ多く摂って、体内での生産に負担を掛けないようにしなければなりません。
しかし全ての酵素は熱に敏感で、食べ物に含まれる酵素は、生で食べることが必要です。
例えば、生の果物、生の野菜ジュースなどです。
酵素はいろいろな栄養素を働かせ、体に必要なエネルギーを供給させるただ一つの栄養素ですから、酵素を使いすぎると、体の働きを悪くし、肥満、循環器系の疾患などいろいろな病気の原因になります。
●ビタミン
自然のビタミンはすべて有機物で、植物や動物、すなわち生きているものに含まれます。
現在、人体に栄養素としての働きを有すると見られているビタミンは約20種類発見されています。
必要とする量がすくないので、微量栄養素と呼ばれていますが、正常な発育や健康維持には不可欠です。
ビタミンは体内で酵素と一緒に働きますので、助酵素とか補酵素ともよばれており、その働きのほとんどは細胞内で行われます。
酵素は細胞内に充分なビタミンがなくても、かなり長い間その働きを続けますが,しだいにその速度は落ちていきます。
ビタミンが不足すると、しだいに病原菌に感染しやすくなったり、毒物による影響を受けやすくなったりします。
ビタミン欠乏症による症状はゆっくりと2〜3週間、あるいは1ヶ月以上不足の状態が続いてから起こりますが、酵素の働きが落ちる為に効率は悪くなってきます。
さらにその状態が続けば細胞が死に、他の組織や器官も徐々に影響を受け始めます。
●ミネラル
ミネラルもビタミンと同様に補酵素として体内の活動、生命維持のために働きます。
体液、血液、骨の合成、そして正常な神経組織をつくるためにも必要です。
ミネラルは二つのグループに分けられます。
一つはカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リンなどのマクロ(多量)ミネラルで、もう一つはミクロ(微量)ミネラルと呼ばれる亜鉛、鉄、銅、マンガン、クロム、セレニウム、ヨードなどです。
マクロミネラルはミクロミネラルより多く必要とされますが、ともに健康を保つ上で大切なものです。
ミネラルは筋肉の反応、消化、食べ物に含まれている栄養素の代謝と利用、神経の伝達及び、ホルモンの合成に必要です。
ミネラルは多くの場合ビタミンと一緒にになり、お互いに関係を保ちながら働きます。
例えば、ビタミンB群のあるものはリンと一緒になったときにしか吸収されません。
ビタミンCも鉄が一緒のときに吸収が良くなります。
カルシウムもビタミンDがなければ吸収されません。
ゆえに、天然原料の栄養剤は合成よりも吸収に優れているわけです。
ミネラルは、正常な精神と身体の働きのために欠かせない、体液の微妙なバランスを保つ為にも働きます。
血液や組織の体液の酸とアルカリのバランスを保ち、栄養素が運ばれやすい状態にします。
また細胞内に必要な栄養素が入ったり、老廃物が出るのを助けたり、異物への抗体の合成に関与したりもします。
ミネラルのほとんどは、体内の筋肉や骨に貯蔵されますが、長期にわたって大量に摂りづけると害になる場合があります。マグネシウムだけは無害とされています。
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